
DAYS
第34章 Lives M×O
「ただいまー。」
智の声が、ここにまで聞こえてきた。
気がつけば、湯船に1時間ほど
浸かっていたようだ。
もうそろそろ上がろうかと
ゆっくりと立ち上がったら、
「ぁ…。」
視界がぐらりと揺れた。
そのまま立つことが出来ずに、
バシャンと大きな音を立てて
また湯船に沈み込んでしまった。
まずい。逆上せたな。
どうしようと、ふわふわしてうまく
働かない頭で考えていたら、
「潤!?どうしたの?大丈夫?」
バタバタとすごい音を立てて
智が走ってきたかと思えば、
浴室のドアを勢いよく開けた。
「すごい音がしたけど…。」
「…逆上せたみたい。」
「え?何やってんだよ。
ほら。支えるから。」
服を着たまま、自分が濡れることも
気にしないで、智は俺の体を浴槽から
引っ張り上げてくれた。
俺のほうが体格がいいし、何より今は
まったく力が入らないもんだから
立つのもやっと。
それでも智に支えられて、何とか
風呂場から脱出してリビングへと向かう。
「大丈夫?もうちょっとだから。」
智の肩に支えられ、壁伝いに歩いて
何とかリビングのソファーまで辿り着いて
沈み込んだ辺りから記憶が曖昧だ。
「これ飲んで。」
スポーツ飲料を渡されたけどうまく
掴めない俺に、智は自分の口から俺の口に
流し込んだ。
2回目のキスがこんな形になるなんてな…。
「ちょっと眠ったら楽になるかな。」
寝てもいいよ、って。
智が一定のリズムで俺のお腹を
ぽんぽんと優しく叩いて、何かを
口ずさんでいるから、すぐに眠りに落ちた。
久しぶりの智の温もりだった。
やっぱり愛おしかった。
