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DAYS

第34章 Lives M×O





「何、これ。」

潤の表情が、怒りから悲しみに変わる。


「こんなの作ってたの?
誰に?何のために?

こんなののために、俺、
淋しい思いをしなきゃいけなかったんだ?」

自嘲気味に笑う潤の声が耳にやけに響く。


「こんなのって言うなよ…。」
「だってそうだろ!
誰にこんなの渡すつもりだよ!」
「…。」
「言えないからコソコソやってんだろ!」


久しぶりに聞いた、潤の本当に
怒ってる時の声。

確かに、俺が他のヤツにリングを
作ってたら、問題がある。

だけど、これは…。


机の上には、淋しく置かれた
もう片方のリング。


「何なんだよ!ほんとに。」

潤がリングをぎゅっと握ると、
ばんっと床に叩きつけた。


「あ…。」

慌てて拾うために駆け寄る。

少し傷は入ってるけど、壊れてはいない。


ここまでされると、俺だって頭に来る。

いくら事情を知らないからって…。


「そんなに大事なんだ…。」
「ああ、そうだね。大事だよ。」
「最低だな。」
「最低はどっちだよ。

誰のために作ってたと思ってんだよ!」


込み上げてくる涙を抑えられなくて、
机の上のリングを潤に投げつけると
ゲストルームに駆け込んで、鍵をかけた。

潤の声も全部振り切って。


「最低だ、俺…。」


『誰のために作ってたと思ってんだよ』

そんな気持ちで作ってなんかない。
ただ潤に喜んでほしくて、それで…。


「バカ…。」


こんなはずじゃなかったのに。

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