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DAYS

第34章 Lives M×O




下を向いたままだったけど、
でも智が出てきてくれた。

それだけでも嬉しかった。


「智!

…あっ。」

ぱっと立ち上がって、智を抱きしめようと
したけれど、立ちくらみがして、
またすぐに床に崩れ落ちた。


「潤、大丈夫?逆上せたし、疲れも
あるんだよね。ごめんね。
こんなところに居させて。」
「俺が悪いんだから、気にすんな。」


こうやって、許してくれて、
ドアから出てきてくれてるだけで、
十分嬉しいから。


言わなきゃいけないことはたくさんあるけど、
でも最初に言わなきゃいけないのは

「ごめん。本当にごめん。」
「もう大丈夫だから。
俺が誤解を招くようなことを
したのも事実だから。」


お互い様でしょ?
俺らって、そういうのが好きなんだよね?

なんて笑ってくれるから、
俺も思わずほっこり笑ってしまった。


「お誕生日おめでとう、潤。」
「ありがと…。」


この世で一番大切な人と、
大切な瞬間を迎えられる喜び。

こんなに心が暖かくなる誕生日は
いつ以来だろうか。


「ちょっと待ってて…。

プレゼント持ってくるから。
…っていっても、もうバレてるけど。」


そう言って、アトリエの部屋へ
足早に向かっていった。

めまいはまだひどい。
だけれど、心はちっとも苦しくない。

さっきまで感じていた淋しいは、微塵もない。

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