
DAYS
第34章 Lives M×O
O side
誕生日になった瞬間に、
「おめでとう」って言って。
そのままリングを渡して、
甘い夜を過ごすつもりだった。
ベッドでたくさん愛を囁いて。
柄にもないけど、でもそんなことを
考えてたんだ。
なのにケンカするし。
ベッドに入ったはいいけど、
潤は風邪引いちゃったし。寝ちゃったし。
しかも俺まで何だか風邪っぽい。
当たり前か。
俺も髪も、体もろくに拭かないで
逆上せた潤の介護をしてたんだから。
目の前には、いつもより少し
速い呼吸でちょっと苦しそうに眠る潤。
こころなしか、顔が赤い。
俺も喉が痛いし、熱っぽい。
「誕生日に2人して風邪って…。」
呟いた独り言も掠れている。
風邪薬とか飲んでるほうがいいんだろうけど、
体が怠くて動かせない。
仕方がない。
明日考えよう。
「おめでとう…。」
改めて口に出す。
今日、俺の大切な人が
生まれてきたのだと思うと、
何だか感慨深いものがある。
生まれてきてくれてなかったら。
事務所に入っていなかったら。
同じグループで仕事をしてなかったら。
きっとこうして、潤は俺の隣には
いなかった。
そんなスケールの大きなことを
考えていたら、
「んー…。智…。」
寝言で俺の名前を呼ぶ。
そんな些細なことさえ、幸せで。
目が覚めた時に、潤がいてくれる喜びが
味わえることを夢見て、
「おやすみ。」
俺もゆっくり眠りに落ちていく。
