
DAYS
第35章 ホント S×O
苦手な料理も最近では楽しいし。
まぁ不器用には変わりないし、
時間はすごく掛かるけど、でも楽しい。
なかなか起きてくれない智くんを
起こすのも俺の日課。
朝イチのコーヒーも。
和テイストの多い朝ご飯も俺の仕事。
洗濯と掃除だけは譲れないって言うから、
それは智くんの担当だけど…。
俺、こんなヤツだったっけな。
何ていうか、その…。
「愛、だよなぁ。」
「へ?」
ご飯を食べている最中、
俺が思ってたことと全く同じことを
言うもんだから、驚いてご飯を喉に
詰まらせた。
「あーあー、何やってんの。」って、
智くんが麦茶を渡してくれる。
「ありがと。落ち着いた。」
「翔くんって、時々変だよね。」
「なにそれ。」
「そういう時ね、すっごく可愛い。」
また、あのキラースマイルで
そんなことを言う。
口にまだご飯が入ってるもんだから、
もぐもぐ口を動かしている。
「バカ、智くんの方が可愛い。」
「ふぁ?」
「あーもう。ご飯入ってる時には、
喋っちゃダメ。」
そういうと、素直にはーいと長めの返事を
しながら行儀よく食べるんだから、
またそこが可愛かったりもする。
食後のコーヒーは、飲む日と飲まない日、
両方の日が存在してる。
食後のコーヒーを煎れるのは、
智くんの仕事。
智くんがコーヒーを出してくれる日。
それは、俺へのサインでもある。
『今夜、いいよね?』
別に誰に隠してる訳じゃない。
でも、自然とこうなってた。
迷いなく、俺はぐいっとそれを飲み干す。
これが俺たちの夜のスタート。
