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DAYS

第36章 Mine S×A





リビングに入って、ようやく気が付く
テレビの存在。

画面にはばっちり番組が映ってる。

ちょっと不機嫌な翔ちゃんの顔まで。


「ねぇ、翔ちゃん。」
「ん?」
「この時の翔ちゃん、何か機嫌が
よくないみたいだけど何かあった?」


この一言で、さっと翔ちゃんの顔が曇った。

あれ…。俺、何かまずいことでも言った?

でもそう思ったのも一瞬で、
すぐにまたあの優しい笑顔に戻って

「いや、別にそうでもないけど。」

そう言った翔ちゃんに内心ホッとした。


だけどどうしても引っかかるんだよなぁ。

気が付いてないかもしれないけど、
翔ちゃんの顔、引きつってるよ?


「でもやっぱり翔ちゃんー…」
「何でもないって!

…ごめん。先に風呂入ってくるわ。」
「あ、うん…。」


スタスタと歩いて行ってしまう背中を
ひとり寂しく見送った。

画面の翔ちゃんと同じ、暗い顔で。


番組の後半になっても、翔ちゃんの顔は
曇ったままだった。

絶対に何かあったんだよなぁ、あれ。

翔ちゃんはストレスとか、そういうのを
俺に言ってはくれない。
頼りないのかな、俺。


「やっぱり聞き出すべきなのかなぁ…。」


チャンネルを握りしめたまま、
画面の翔ちゃんをじっと見つめてる。


何だかそんな自分が淋しかった。

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