
DAYS
第36章 Mine S×A
爽やかな笑顔を振りまいて、
こっちへ颯爽と走って来てる。
「久しぶりだね!」
「久しぶりって…この前会ったでしょ?」
「あ、そうだった。」
相変わらずだね、なんて笑われる。
「ご飯、誘った時だったでしょ?」
「そうだった!
ごめんね、行けなくて。」
「ううん。相変わらず忙しいんでしょ?」
そう。タッキーには仕事だと嘘をついた。
他に断る手が見つからなかったし、
これが一番安全な方法だと思ったから。
メールでは嘘をついて断ることが
出来たけど、現実でそれは難しい。
すぐに顔に出ちゃうから。
「うん。」
「また誘うから。いいよね?」
いつになくグイグイと迫ってくる
タッキーを目の前にして、俺はとうとう
言葉を詰まらせてしまった。
ここまで言われたら…って思ったけど、
すぐに翔ちゃんの顔が浮かぶ。
あの苦しそうな顔と、
『行くな』って。いつになく厳しい言葉が。
「…う、うん、あのー…。」
「櫻井くんに、何か言われた?」
いつの間にか、タッキーの顔からは
笑顔が消えていて、鋭い目が俺を貫く。
今、翔ちゃんのこと言ったよね?
知ってるの?タッキーは。
プチパニックに陥ってる俺を、
依然としてじっと見てる。
ちょうどいい言葉が見つからない時、
メイク室のドアが開く音がした。
