
DAYS
第36章 Mine S×A
俺の手をずいずいと引っ張って、
廊下を抜けて車へ向かおうとしてるらしい。
「ちょ、ちょっと待って!
俺、先約がある!」
そう適当な理由を言ってはみるけれど、
「それよりも俺が約束してたんじゃなくて?
だって仕事が入ってる予定だったん
だもんね?」
なんて返されて何も言えない。
「いや、それは…あの時はー…」
「先約があるって、
あの時言ってくれなきゃ。
もうその約束、先約じゃないでしょ?」
さっきまでの優しい雰囲気は
どこへ行ってしまったのか。
握られた手が痛い。
翔ちゃんを探さなきゃいけないのに、
ずいずいと引っ張ってくタッキーに
ひたすら引きずられてる俺。
「ちょっと待って!俺、楽屋に荷物がある!」
「それは取りにいかなきゃまずいね。」
パッと手を離すと、
「じゃあここで待ってるから。」
廊下の隅の、ちょっとしたスペースに
置かれたイスにタッキーは腰をかけた。
楽屋に戻る途中にも辺りを見渡して、
1番会いたい人の姿を探す。
「おっかしいなぁ…。」
見つからないなと嘆いてるうちに
楽屋に着いてしまった。
ドアを開ければ、
「あ、翔ちゃん!」
「ん?」
やっと見つけた翔ちゃんは、
何だか機嫌があまり良さそうじゃない。
「探してたの、俺。どこにいたの?」
「トイレに行ってたけど…。
俺、もう帰るけど一緒に帰る?」
翔ちゃんからの久しぶりのお誘いに、
「え!?」
思わず声が裏返ってしまった。
「そんなに嬉しい?」
他のメンバーも気にしないで、
俺の頭をポンと愛おしそうに撫でてくれた。
