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DAYS

第36章 Mine S×A





何も言わせてくれないまま車に乗せられて、
勝手に車を走らせる。

その横顔は、どこか勝ち誇ったような
顔をしていて…。


「どこ行くの?とか、聞かないんだ。」

ふと、赤信号で車が止まったのと
同時に、助手席の俺を見ながら言う。


「…どこでもいいから。」
「投げやりだな。ずいぶん。

気になる?櫻井くんのこと。」


気になるに決まってる。

だけど、それを言っていいのか。
言えば追求されるだろう。

『メンバーってだけで、何でそんなに?』

そんな事を聞かれたら、何て答えれば
いいのか分からない。

素直に『恋人です』なんて言えないし。

同じ事務所の先輩だからって、
そんなことは出来ない。


「気になるよね、そりゃ。

俺だって気になるよ。
恋人の機嫌が悪かったら。」


自分の耳を疑わざるを得ない言葉が
聞こえてきた。

…恋人って言ったよね?

全部知ってるの?タッキーは。


「何で…?」

これだけで、俺が何を言いたかったのか
分かったらしい。


「何も聞いてない?櫻井くんから。

あれだけ痩せて様子がおかしかったら
聞くもんじゃないの?」


その一言が、深く胸に突き刺さった。

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