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DAYS

第36章 Mine S×A




タッキーから聞かされた話は、
全て俺の知らないことばかりだった。

運転を止めないタッキーの口から
次々と語られる。


…翔ちゃん、ごめんね。


「本当に、何も聞いてなかったんだ。」


一通りを語り終えたのか、
ふぅっと長めの息を吐いた。


手が震える。
指先は冷えきってる。


「俺さ、相葉くんが好きなんだ。」

「こんなやり方、ずるいかもって
分かってた。」

「だけど、チャンスが欲しくて…
というか、作りたかった。」

「ちょっとでも気を引きたかった。」


そんな言葉が聞こえてくるけど、
だけどそれ所じゃないよ、もう…。


涙が出そうになるのを、必死で
堪えることしか出来ない。

俺に泣く資格なんてない。

泣きたいのは、ずっと泣きたかったのは
翔ちゃんなんだから…。


「どこ行こっか?

実は何も決めてなくて。」


あんな話をした後でも、
何もなかったみたいに話を続けてる。

楽屋を出た時も、そんな気分では
なかったけど、話を聞いた今では
もっと気分は乗らない。


車はまた、赤信号に捕まった。


「もう俺の家で、とかどう?」


助手席の俺を見て、そんな提案をしてる。

だけど何も言わない俺に、
だんだんと痺れを切らしてきたのか、


「…櫻井くんのことなんか気にすんな。
何で俺の方を見てくれない?」


信号はもう青に変わってるのか、
後ろの車からクラクションを鳴らされてる。


はぁ…っと嫌なため息をついて
車を発進させようとしてる。

車が少し動き出した時、
俺は堪らなくなってドアを開けて飛び出した。

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