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DAYS

第36章 Mine S×A




口は乾いてるし、声が上手く出せない。

「そうなんだ…。」

やっと出せたたった一言も、
震えてるし蚊の鳴くような声。


そんな事を俺に相談するな。

本当ならそう言いたい。
だけど上手く声は出せない。

『雅紀は俺のなんだ』って。

でも、滝沢くんの目は真剣で
額にはうっすらと汗をかいていて。

…どれほどの覚悟を持って
それを打ち明けたのかが分かった。

そんな相手に、言えない。


上手い言葉も見つからなくて、
ただグラスのビールで喉を潤した。


「でも何で俺に?」


素朴な疑問だった。

特に付き合いが深い訳でもない俺たち。
ましてこんな話…、恋愛を相談するような
間柄ではない。

こんな大事な話、俺に言われてもって
思う気持ちもゼロじゃない。


「それは…。

だって、宣戦布告しとかないと。」
「…は?」


心臓が、どくんと大きく脈を打った。


「櫻井くんも…でしょ?」
「…。」
「あ、違うか。

櫻井くんは恋人、だもんね…。
相葉くんの。」


また、頭の中が真っ白になった。


「見ちゃったんだ…。俺。

相葉くんと櫻井くんが、
トイレでキスしてるところ。」

ダメだよ、公共の場でそんなことしちゃ。
よかったね。見たのが俺で。


続けざまに何か言われてるけど、
聞こえない。


吐き気がした。

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