
DAYS
第36章 Mine S×A
その日からだ。何も食べられないのは。
何を食べても吐き気をもよおしてしまって、
体が受け付けない。
居酒屋での、滝沢くんの声が
俺をずっと苦しめている。
「何なんだよ…!!」
家に帰った俺は、自分でも分かるくらい
かなり荒れている。
雅紀が、滝沢くんと飲みに行った。
その事実がまた、俺を苦しめている。
俺を置いて。
2人っきりで。たった、2人っきりで。
なんて、よく言うよ。
引き止めなかったとは俺なのに。
俺が行けば?って言ったくせに。
背中を向けて、1人でこうやって
帰ってきたくせに。
雅紀の顔を見れば、乗り気でないのは
明らかだった。
俺に助けを求めてたのも分かった。
だけど…。
「行けば?」なんて、心にもない言葉が
出てきてしまった。
何なんだよ。どうしたいんだよ、俺は。
ソファーに座り込んでは見るけど
落ち着くはずなんてない。
体は睡眠を求めてるけど、眠りたくない。
寝ればまた、悪夢に襲われる。
『ごめん、翔ちゃん。
…俺、タッキーと付き合うことにした。』
『は?何言ってんだよ、冗談キツイって。』
『本気なんだ。…ほんとごめん。』
そう言って、いつもいつもいつも…。
夢の中の雅紀は、俺の腕からすり抜ける。
それが怖くて。夜中に何度も目が覚めて。
雅紀を求めた。
隣で疲れて寝てる雅紀を何度も求めた…。
信じられなかったんだよ。
雅紀も。滝沢くんも。
俺自身でさえ。
