DAYS
第7章 crazy for you M×N
何度も、
「かーず。」
って、俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
こんな時、もっと素直になれたら
「ごめんね?」
なんて言って、すぐにここを出て
潤くんに抱きつけるんだろうけど…。
その一歩が、どうしても踏み込めない。
やがて諦めたのか、廊下から音が
聞こえなくなって、部屋に静寂が訪れる。
「どうしよう…。」
大嫌いなんて言ったことを、
今更後悔したって遅い。
潤くん、
こんな俺に呆れちゃった?
いつからこんなに我儘になっちゃったんだろ。
潤くんの全部が欲しくて、
潤くんの全部を俺にしたくて。
そんな子供みたいな醜い嫉妬心が
俺の中にふつふつとこみ上げてきてて。
床に体育座りをしてたけど、
どうも腰が痛くなってきちゃって
座ってるのが辛くなってきた。
「いたっ…。」
少し体勢を変えようとしただけでも
もうどうにもならないくらいの激痛。
「体、温めなきゃ…。」
何とかベッドに上がろうとするけど
やっぱりダメで。
それどころか、立ち上がろうとした時の
激痛で、
「ったぁ…。あててて。」
体がふらついて、床にばんっと手を付いた。
…と、同時に
「和!?和!!」
潤くんの鋭い声。
「どうした?和?
ここ開けろ。和!」
ばんばんと潤くんが激しくドアを叩く。
「腰が…。」
「とりあえずここ開けて?」
「俺、今動けなくて…。」
「どの辺にいるの?」
「クローゼットの前。」
ドアから4メートルほどの距離さえ
動くのが辛い。
「じゃあそこから、絶対に動くなよ。」
「え…。」
動かないの?
鍵、開けられないんだけどー
頭の中でどうしようと考えてたら、
物凄い大きな音がして
「和!」
え、潤くん!?
ドアを見ると、
「え!ドアがー」
「緊急事態だからいいの。」
「いや、ダメでしょ。」
「いいの!」
え、蹴り飛ばしたの?
ドアの近くには、枠から外れたドア。
「大丈夫!?」
「いや、潤くんこそ大丈夫?」
「俺はいいの。和は?」
「いや、俺よりも潤くんだって。」
「いーや、和。」
「潤くん!」
「あー、もー!」
潤くんが俺の体をぐいっと持ち上げた。