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Decalogue

第3章 淫猥なあやつり人形

真聖がキッチンから小さな錠剤と水の入ったグラスを持ってくると優花に渡し、飲むように促した。
「ほら、薬の時間だろ?」
「…うん」
渡されるまま薬を飲み込んだ。
「これを飲んでるから妊娠の心配はないよ」
「…うん」
「俺と優花の子供だから大歓迎だけど、まだ今はふたりっきりでいたいからな」
優花の頬にくちづけた。
真聖は優花を抱き上げて天蓋のベールを捲りベッドに横たえた。
優花に唇の雨を降らせる。
「もう…だめ…寝なくちゃ…今日も…お仕事…あるでしょ?」
優花が肩を押すと真聖は悪戯っ子のような笑みを向けて
「優花が俺の事をどう思ってるのか言ってくれたらいう事を聞くよ」
思わず優花が固まる。
「ほら、早く」
真聖が急かす。
「…すきだよ」
優花の選んだ言葉に真聖の表情が歪んでいく。
「違うだろ?子供の頃とは違うんだぞ。この家に来た時に教えただろ?何って言うのか」
消え入りそうになる小さな声で
「…お兄ちゃんの…こと…誰よりも…愛してる」
「ちゃんと言えるんじゃないか」
真聖は満足気に微笑んで優花の髪を撫でて胸の膨らみに顔を埋めた。
複雑な気持ちを抱えたまま優花は真聖を抱きしめた。

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