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Decalogue

第4章 交接する心とからだ

仕事から帰ってきた真聖は睡魔に襲われ、少し濡れた髪のままでリビングの大きなソファーに倒れ込み、スーツ姿のまま横になった。
ソファーのスプリングが軋む音に気づいて優花が目を覚ますと、真聖が部屋にいないことに気付き、リビングに続く扉を開けようとすると、ベッドから張った鎖のせいでリビングに入ることさえできない。
扉の向こうで鎖を引きずる鈍い音をたてる優花に気付き、ソファーから起き上がると
「…もう起きたのか…今開けてやるから」
扉の施錠を外して優花のそばに行くと、体を抱き上げてベッドに凭れるように座らせた。
「…お仕事…どうだったの?」
優花の投げかけた言葉に真聖は驚き
「どうした?いつも仕事のことなんて聞いたりしないのに」
「うん…帰ってくるの遅かったから」
俯く優花の隣に座ると
「同伴とアフターもあったからな…」
優花の顔色を窺い、髪を優しく撫でると
「ただの客だから優花は何の心配もしなくていいんだぞ。俺が色売りができないの知ってるだろ?心はいつも優花と一緒だからな。寂しかったのか?」
真聖の優しい視線に優花は小さく首を振った。
小さく唇を重ねると
「今日は仕事が休みだから優花といつもよりゆっくり過ごせるよ」
真聖の言葉に心のどこかで期待していることに気付いて優花は戸惑う。
「嬉しくないのか?」
「…ううん」
小さく首を横に振った。

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