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Decalogue

第5章 贖えない因果の連鎖

男が窓の前に立ち、窓枠の上部に布を掛け始めた。
そのせいで部屋が覗けなくなってしまった。
もしかして、僕が覗いていることを気づいてしまったのだろうか?
あの時、男と目が合ったのかもしれない。
不安が過る。
彼女のことが心配で堪らない。
また男に彼女が酷い扱いをされているのかと思うと僕の胸が苦しくなり、体の芯が熱くなる。
何もできずに時間だけが悪戯に過ぎていく。
相変わらずカーテンは閉とざされたままで窓さえ開かず、彼女の姿が見える事はなかった。

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