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君と別れるための5つの条件

第2章 別れるのは1カ月後、それまでは今まで通りにする

気づけば、桃李の目からは大粒の涙がボロボロとこぼれていた

拭っても拭っても涙は止めどなく溢れてくる

自分から突き放したのに、翔太に嫌われることがとてつもなく悲しい

自分のことが嫌いな翔太といるのが苦しい

何より、自分勝手な考えしかできない自分に嫌気がする

なんで、翔太はあんな条件を出したんだろう……

あれがなければ今こんなに辛い思いはしなくてよかったかもしれないのに……

多くの時間を2人で過ごした広い空間に、桃李が1人、声を殺して泣く音だけが響いていた


涙がやっと収まりかけた頃にガチャッと玄関の開く音が聞こえ

「ただいま」

今一番会いたくない人の声が廊下の奥から聞こえてきた

足音が少しずつ近づいてくる

扉が開く音がする


こないでほしい

今の汚い感情に包まれた自分を見ないでほしい

せめて、翔太の記憶にはできるだけ綺麗なまま残っておきたい


一瞬で様々な思いが桃李の頭の中を駆け巡る

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