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君と別れるための5つの条件

第2章 別れるのは1カ月後、それまでは今まで通りにする

「桃李?」

静かな部屋の中に優しい声が響く


そんなに優しい声で名前を呼ばないでほしい

それ以上近づかないでほしい



前みたいにあの大きな腕に包まれたい……



翔太は部屋の隅で小さく肩を震わせる桃李の前にしゃがんだ

「どうした?」

子供をあやすような声音で問いかけるが、桃李は肩を震わせることしかできない

翔太はしばらく桃李の返事を待っていたが、答えないことがわかると突然立ち上がった


やっぱり嫌われた

こんな面倒な奴はやっぱり呆れられただろう


桃李の目からは止まったはずの涙が再び溢れ始めた

声が漏れないように必死で押さえ込んでいると、突然強く腕を引かれ、立ち上がらされると、心地の良い温かさに包み込まれた

広すぎず、狭すぎない、桃李のためにあるようなその空間にの体がすっぽりと収まる

首筋に翔太の息がかかりドキドキする

翔太は何も言わず、桃李を強く抱きしめた

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