君と別れるための5つの条件
第4章 過去
翔太は一度言葉を切ると桃李に聞こえないよう小さな声で続けた
「もうすぐ2人になるかもしれないし、親に感謝しないとね」
「え? 2人になるってどういうこと?誰かと一緒に住むの?」
翔太は聞こえないように言ったはずなのに、その声は桃李の耳には届いたらしく上目遣いで不安そうに翔太を見つめている
そんなに眼、潤ませて
可愛すぎていじめたくなっちゃう
「何? 俺が他の人と一緒に住むの嫌なの?」
そう聞くと桃李の首はコクンと小さく縦に動く
耳まで真っ赤になっている桃李だが、翔太の次の質問で桃李は首まで赤くなる
「なんで嫌なの? 俺まだ村瀬さんの気持ち聞いてないし。教えて?」
「そ、それは……小野田さんのことが好きだから……で、す……」
恥ずかしさのあまりだんだんと語尾が小さくなってしまう
でも、それを聞いた翔太は満足したのか、口角を上げて桃李の柔らかい髪の毛をワシャワシャと撫でる