君と別れるための5つの条件
第4章 過去
あの後、桃李が晩御飯を作り2人で食べた
翔太は自分が作るから休んでろ、と言ってくれたけれど、泊めてもらう身としては何か一つくらいお礼をしておきたい
さっきも困らせちゃっただろうし……
「ごちそうさまでした」
手を合わせて、少し頭をさげる翔太を見つめる
桃李にはどうしても気になる事がある
どうして男の俺を好きになったのか
気になるけれど、こんなこと聞いたら気の迷いだったことに気づくかもしれない
せめて今だけは、それに気づかないで欲しい
「村瀬さん? どうかしました? ぼけっとしてましたけど」
翔太が心配そうに覗き込んでくる
顔が近い
息がかかりそうなほどの距離に桃李の年齢より随分と若く見える顔がどんどん赤く染まっていく
桃李は恥ずかしさを紛らわすために、勢いよく立ち上がる
「こ、これ片付けときますね!」
そう言って慣れた手つきで食器を重ねていると、その手を翔太の手が止める