テキストサイズ

君と別れるための5つの条件

第4章 過去



「お風呂、行ってきます」



回れ右をしてフラフラと歩き出す
後ろから「お風呂そっちじゃないですよ」と声を掛けられたけど、それが桃李の耳に届くことはなかった








桃李は通常よりも大分広い湯船で体を休め、今はふかふかのバスタオルで体の水分を拭き取っている



それにしても何もかもが広すぎる
お風呂に来るだけで軽く迷子になるとは……



体を拭き終え、翔太の用意してくれた新品のパンツを履き、スウェットに着替えていく
しかし、ズボンの丈は踏んでしまいそうなほど長く、袖は萌え袖どころの話ではない



「うう、小野田さんでかすぎるよ……」



こうなることはなんとなくわかっていたが、実際着てみると男として悲しくなってくる
しかし桃李はそれをしかたないの一言で片付けるとリビングに向かうべく歩き始めた


一歩踏み出すごとに翔太の匂いが漂い、桃李の鼻腔をくすぐる
それは爽やかなとてもいい匂いで、桃李を包み込んでいく

ストーリーメニュー

TOPTOPへ