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金魚鉢の金魚

第1章 金魚鉢の金魚

         ***





「ただいま」

「おかえりなさい」

 翔ちゃんが仕事から帰って来た。私はめいいっぱいの笑顔を見せる。

「っ……」

 翔ちゃんの顔が歪んだかと思うと、私はふわりとした、けれど、しっかりとした温かさに包まれる。

「無理すんな」

 翔ちゃんに抱きしめられたのだ。もうすぐ付き合って五年になる翔ちゃんには嘘がつけない。私は彼の胸の中で思い切り泣いた。翔ちゃんは、私の頭を撫でてくれる。

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