キョウダイ
第15章 守られる愛
直感で右側を指差す。
シンプルだけど、ラインが綺麗で葵なら良く似合うだろうって思ったんだ。
簡単にイメージできる体のライン。
思い浮かべてぞくりとする。
「こっちかな?」
母さんは俺の顔を見て、ニヤリと笑った。
「ねぇ、柊斗。あたしはあんたにこの会社を次いでもらいたいって思ってるのよ?」
「俺はまだ、高1なんだけどね?」
「将来の事よ、卒業後は専門学校でも行って、経営やデザイン系を学んでもらって、まぁ、大学行ってもいいけど、好きでしょ、そういうの?葵と一緒にいつまでも着せ替えして遊んでたくらいだものね?」
「いつの話してんの?」
からかうような視線に口を尖らせる。
「悠斗は弁護士目指すって言うし、人脈的に助かるからそれはしょうがないとしてね。葵もデザイナーになりそうだし、あんたたち二人なら安心だわ」
「海斗は?」
一応聞いてみる。
「あら、あの子は消防士とか刑事とかになりたいみたいよ?刑事モノのドラマや映画大好きじゃないの?」
クスクス笑ってるけど、俺は初耳だよ?
でも納得する。
確かに刑事モノ好きだね。
むいてそう。
気が短くて正義感あるし。
気が短いのはまずいかもだけど。
そっかぁ。
葵と一緒に。
この会社を次ぐ……。
ぱぁっと、未来が開かれたような気がした。
「まぁ、葵が誰と結婚するかまだ分からないけどね?」
そんなの。
俺に決まってるじゃん。
「あんたたちキョウダイなら誰でも大歓迎だけど、明ちゃんは勘弁して欲しいわぁ……周防家とは関わりたくないもの」
「それは絶対ないよ」
でも穏やかじゃない気分だ。
明は昔から葵にちょっかいかけてるし。
好きだから意地悪してるのは分かる。
嫌ってる筈なのに。
葵も良く分からない。
今日だって抱きあったりなんかして……。