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キョウダイ

第15章 守られる愛






頭の中に思い浮かぶのは、今日の学校の昼休みでの事。





中庭で抱き合う、絵になる二人。





少し離れた場所に俺達友達数人で、飯を食っていた。





友達やその彼女、その友達、仲良いグループで良く一緒になる。





二人がいたのはすぐに気がついた。





なんか喧嘩してる雰囲気。





俺も思わず行こうか、腰をあげた瞬間だった。





足が止まってしまったんだ。





抱き合ってるし、絵になるし、近寄れない雰囲気だったし。





情けない。





前にも家の前で明が、葵にキスをしたのを見た時もそうだった。





ショックで足がすくんだんだ。





体中が固まったかのように、動けなかった。





その後に葵が帰って来ても、ろくに話が出来ないほど、ショックを受けたんだ。





結果的にその後に葵とめでたく、結ばれたんだけど。




「明だけはだめだよ……」





一人ごとのように、呟く。






くすりと笑う気配。






「なんだか懐かしわ……。あたし達と、まるで同じね。葵の母親である香住を巡っての熾烈なバトル。うちのお父さんと周防キョウダイ。本家の長男と二男、三男……。みんな、幼馴染みだったのよ。
あたしと、明君のお母さんは高校から一緒だったんだけどね。
でもまさか本家の長男が家を捨ててまで、香住と一緒になるとは思わなかったわね……。
うちのお父さんも明君のお父さんも香住に振られちゃったのよ。
それなのに、あんた達ったら、まるで一緒なんだもの」





くすりと口を押さえて、笑う、母さんの表情が、寂しそうに見えた。




俺からすれば、何度も聞いた話だ。





そんな事は俺達には関係ない。





昔から好きだけど、葵だから好きなだけだ。





幼馴染みの真理ちゃんには、悪いけどなんの感情もないし。




「香住は大事な親友だったから、葵の事も大事なのよ……。
だけど、お父さんは……。
情けないけど、葵に何度もヤキモチを妬いてしまって、可愛いそうな事をしたと思ってるの……」





ぽつりぽつり、俯いて話をする、母さん。





俺は黙って頷く。





知っていたんだ。

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