キョウダイ
第17章 絡みあう糸
スマホのアラームの鳴り響く音。
いつもと同じ時間に、いつものように目を覚ました。
寝不足なんだけど、習慣なのかな。
ちゃんと起きれてしまう。
カーテンの隙間から朝日が洩れている。
今日はいい天気だ。
そっとベッドから下りる。
「うう……ん……」
さっきまであたしを抱きしめてた柊斗の手が、何かを探すようにシーツを撫でている。
それを見て思わず笑う。
可愛い。
「……葵?」
寝言かな?
起きる気配はない。
カーテンを開けて身仕度を整える。
いつものように洗濯から始まり、皆の弁当を作る。
何とも思わず自然に明の分も作る。
「……」
はっと手が止まる。
昨日明に理科室でキスをされた事を思いだす。
明にキスをされたのは初めてじゃない。
ファーストキスは明だったし、2回目もあったし、3回目……。
昨日のは何かが違うって感じた。
初めて明が恐いと思ってしまった。
昔から散々意地悪されたし、泣かされたし、実際怪我までした事もあった。
意地悪がエスカレートして、あたしが泣くと急に優しくなる。
だけど、昨日のあれは……。
……。
どうしよう?
何事もなかったように、弁当を作って、いつも通りに接する?
それもちょっと……。
いや、ちょっと待ってよ。
あたしは普通に明と接する事ができるかな?
明は今日はあたしを迎えに来るのかな?
分からない。
もともと分からない性格だ。
学校ではチャラくて誰とでも話をしてる。
成績も良く優等生ぶって、先生方にも人気だ。
だけど、あたしには意地悪したり、優しくしたり、気紛れなのか、猫を被らない。