キョウダイ
第18章 育ての親
どれくらいの時間がたったんだろう。
ずっと泣いていたけど。
いつの間にか眠たくなって、膝を抱えたまま、眠ってしまっていた。
「葵〜?」
悠ちゃんの声が聞こえる。
あたしは目を覚まして慌ててトンネルから出た。
「葵っ?」
走ったのか、悠ちゃんの髪が少し乱れてた。
「悠ちゃんっ!」
悠ちゃんの姿が見えた瞬間、思い切り走って抱き付いた。
ぎゅっと背中に腕を回されて抱きしめられる。
広い胸。
石鹸の香り。
悠ちゃんだ。
安心して嬉しくてまた泣いてしまっていた。
「何があったんだ?
こんなに心配させて……こんな所にいるし、場所が確定出来なかったからこのあたりをぐるぐる走り回ってたのに、電話に出ないし、また何かあったのかと思うだろ?」
ぎゅっと抱きしめられる腕に力が入る。
「ごめんねあたし、うたた寝しちゃってたみたい……」
「お前ね……」
はあ〜。
深い息を吐く悠ちゃん。
申し訳なくて上目使いで悠ちゃんの顔を見つめる。
「怒ってる?」
「当たり前だろ?」
うっ、目が怖い。
切れ長の瞳が鋭くてビクビクしてしまう。
「……お父さんに、会ったんだ……それから……」
どう説明すればいいのか分からなくて俯く。
「帰ろうか?」
悠ちゃんに腕を引かれてついて行く。
後ろ姿がピリッとした雰囲気に見えて息を飲む。