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キョウダイ

第3章 血の繋がり





柊斗。

1つ年下の弟。

優しくて、おっとりしてて、争い事が嫌い。

外で遊ぶよりも、家で本を読んだりする子。

女の子みたいな外見で良く苛められた。

その度にあたしと海斗がやり返しに行ったりして、泣きながらあたし達の後を追いかけて来てた。

キョウダイ皆で空手を習ったけど、いつも休みたがっていたし。

基本的にヘタレであたし達の言いなり。

そんな柊ちゃんが、あたしにキスしているっ?

うそっ?

振りほどけないっ?

両手をがっちり掴まれているし、顔を背けようとしても角度を変えて深く口付けられる。

呆然として、柊斗の長い睫毛を見つめるあたし。

「俺だって、葵ちゃんが好きなのに……」

唇の隙間から呟く、甘い声。

ちょっと待って。

キョウダイなんかじゃないんだって。

どういう事よっ。

「柊ちゃん、いい加減にしてっ……!」

「いやだ……」

再び唇を塞がれる。

たまに聞き分けない、子供みたいな事を言う。

末っ子属性という奴だ。

可愛いからつい皆が甘やかしたせいだ。

どうしようっ。

焦るあたし。

その時。




「おいこら、何やってんだ、エロガキが!」



あたしの部屋に響き渡る、掠れたいい声。



海斗だ。



バンっ!



あたしの部屋のドアが乱暴に開く。



ゆらり、風呂あがりの海斗が濡れた髪をグシャッとかきあげながら、ぎろりと柊斗を睨みつける。



どこかで見た場面。



柊斗があたしから体を離した。



ちっと、舌打ちが聞こえた。



んんっ?



「なんだ、いたの?」



ふう、と自分の癖毛の髪を撫でている。



妙に冷静な態度。



「葵にベタベタくっつくなよ?離れろ」



言いながら庇うようにあたしを背中に隠すようにする。


「なんでさ。自分の物だとでも言いたいの?無理矢理奪ったくせにっ!」


「なんだと?」


「葵ちゃんの体、アザだらけだったじゃないか?無理矢理じゃなきゃ、あんなふうにはならないっ!」



「何?お前、こいつの裸みたのか?」



すうっと、目が鋭くなる。



つかつかつかと、柊斗に近付きその襟首を掴む。



ひえぇっ!


なんとなく、逃げるあたし。

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