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キョウダイ

第3章 血の繋がり




腹がたって家を出た。



頭の中がごちゃごちゃだ。



無茶苦茶な気分で走っていた。



最初は幼馴染みの明だった。



付き合おうかとか、どうして急に?



あれだけモテて、女の子に不自由してないのに、いまさらあたしになんで?



しかも家の前でキスしなくってもっ。



ファーストキスなのにっ。



海斗にそれを見られるなんてっ。



海斗。



ズキン、胸が痛む。



あたしは足を止めた。



真っ直ぐな瞳を思いだす。



愛してる。



掠れたような、甘い声が急によみがえる。



どうして急にあんな事……。



切なそうな表情。


激しい腕の中で、彼の熱情を身体中に刻み込まれたのを思い出してしまう。


体の奥がズキンと、痛む。


あの瞳が、甘い声が、暫く頭から離れなかった。






ずっと、キョウダイと思っていた。




キョウダイじゃない?




血が繋がってないってどういう事?





どうして何も教えてくれないの?





みんなは知っていたの?








気付けば公園に来ていた。



滑り台があって。


砂場があって。


ジャングルジムがあって。


ブランコがあった。



そのどの遊具とも、沢山遊んだ。



あのブランコに柊斗と二人乗りして、柊斗が落ちてしまって、お母さんに怒られた。



あの滑り台で柊斗にいじわるして、悠ちゃんに怒られた。



あの砂場で海斗とどろ遊びして、泥だらけになって、お母さんに二人とも怒られた。




あのジャングルジムのてっぺんから落っこちて、悠ちゃんに怒られた。



あの時はじめて、悠ちゃんは恐いと思ったんだった。



悠ちゃん。



一番年上の兄、今年で二十歳になる、大学生だ。




弁護士になりたいらしく、大学生になってから勉強が大変みたいで、大学の近くのアパートに一人暮らししている。

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