キョウダイ
第19章 悠ちゃんの生活
冷蔵庫の中にアイスノンがあって、食料も少しあるから、簡単な食事を後で作ろうと思いながら、明の寝ている部屋に向かう。
明の頭の下にアイスノンを乗せて、明の荷物を失礼してタオルを何枚か出して。
洗面器を見付けて、氷を張って、タオルを濡らして、明の顔に張り付く汗を、拭く。
苦しそうな表情に、胸が苦しくなる。
そっと、綺麗な顔にタオルを当てる、何度も、何度も……。
時折、綺麗な唇に、唇を重ねる。
何度も重ねて、胸が熱くなる。
「どうしていつも……明ばっかり……、あたしが……代わってやれたら……いいのに……」
額に張り付く、黒い髪を払う。
そのまま、頬を撫でる。
熱に苦しむ、明の顔を、じっと見つめる。
苦しそうな表情なのに、綺麗で儚げで、ゾクリとするほどの色気を纏い、それが余計に悲しくなった。
愛しさが込み上げてくる。
失ないたくない。
ほんの少しの未来でも。
傍にいたい。
傍にいさせて欲しいのに。
「大好き……だから……いなくならないで……」
泣きながら、また、キスをした。
荒い呼吸を繰り返す明。
薬を飲ませて、お粥を用意して、少しだけ食べて、また、瞳を閉じる。
背中の汗を拭いたりして、少しずつ、熱が下がる。
その事に安心して、いつの間にかうたた寝していた。