キョウダイ
第20章 残酷な意地悪
明side
体が重くて、自宅のベッドの上で寝かされて眠っていた。
いつの間にか、葵が傍にいない。
こんな体だから、一緒にはいられない。
これでいいんだ。
夢を見ていた。
夢の中で奏が現れた。
久し振りに夢で会う奏は、いつまでも、小学生のままの姿で大人びた眼差しで俺に笑いかけてくれる。
もうすぐ、そこに行くから、待っててくれ……。
思った瞬間、黙って首を振られた。
「明は、来なくってもいいよう」
………………んっ?
いや、だって、ずっと一緒にいようって、約束したじゃないか。
「あ、それ、僕じゃないから」
………………はあ?
「やだなあ、良く、思い出してよ、君が最初に会ったのは……僕じゃないでしょ?」
…………は?
子供の時に、ずっと一緒にいようって、約束してくれた、あれは……。
「葵ちゃんでしょ?
僕達は双子みたいにそっくりだったからね?
男の子みたいに、髪も短かったし、年も1つしか違わない。
約束通り、葵ちゃんは、ずっと一緒にいてくれたじゃない、今度は君が一緒にいてあげなくちゃね?」
でも、俺はもう……長くは、生きられないから……。
「また、そうやって、すぐ、諦める、明の悪い癖だよう、君はこっちに来ちゃダメだからね。
葵ちゃんとずっと一緒にいられる、方法だって、ちゃんとあるんでしょ?
せっかく、金持ちの家に生まれたんだから、利用しなくちゃ」
何を言っているんだ、そんな簡単な方法なんか、何もない。
「簡単に諦めるよりは、大変だけど、何もせずに、待つよりはずっといいでしょ?
君はちゃんと、知ってる筈だよ?」
……………無理だ、俺は……。
「とにかく、来ちゃダメだからね。
ああ、それよりも、早く行ってあげたほうがいい」
……………?
なんのことだ。
何を言っているんだ。
「葵ちゃんのこと、頼んだよ」
無理だ、俺は…………。
「君じゃないと、ダメなんだからね」
そんな事はない。
俺以外の奴のほうが、幸せになれるに決まってる。