キョウダイ
第20章 残酷な意地悪
床の絨毯の上に手をついて、呻くように、呟く。
「…………頼む……!俺を……連れて行ってくれ……!」
絞りだすように、声をだす。
そんなつもりもないのに、まるで二人に土下座しているような姿は屈辱的だけど。
「悠ちゃんの所に……葵を助けたいんだ……!」
驚いたような二人が視線を交わすのが見えた。
「言われなくても、俺がお前を連れて行く」
「悠ちゃん、嫉妬でおかしくなったのかな?早くしないと、葵ちゃんが……!」
海斗が俺の体をひょいと背中に背負う。
柊斗がケータイで車を手配している姿が見えた。
ああ、視界がぼやける。
頼むから、悠ちゃん、それ以上葵を傷付けないでくれ……!