キョウダイ
第7章 学校でのキョウダイ
「葵ちゃん?」
明の気遣うような声にはっとする。
「ごめん、明。昨日のあの話は……」
なかったことに。
てゆうか明が勝手に言い出しただけでしょ?
「ふりだけでもいいからさぁ、俺、今彼女と別れたばかりだし、他の女の子とかが面倒だから頼むよ、人だすけだと思って」
両手を合わせてお願いのポーズをしている。
「え〜やだよ、真理ちゃんに頼めばいいじゃんっ」
「俺の友達が真理が好きな奴がいるから、まずいんだよ」
海斗は面倒そうに、頭を掻き出した。
「葵ちゃんっ、遅刻するよっ、早くいかなきゃっ」
家の中から柊斗が荷物を持って来て、あたしの腕を引っ張る。
「あっ、待てよ、こら!」
海斗も荷物を持って追いかけて来る。
慌ただしくみんなで家を出て。
久しぶりにみんなで学校に行く事になっちゃった。
小学校以来かな?
あたしは柊斗に腕を引っ張られて歩き、その後を明と海斗が付いてくる。
少し歩くと、幼馴染みの池田 真理が家の前で立っていた。
天パの長いふわふわの髪は、頭の上でツインテールにしている。
身長は女の子のわりに高めのスラリとしたスタイル。
はっとするような、美少女だ。
「おはよう。みんなで勢揃いとか珍しいね?」
ふわりと花が開くような笑顔。
「試験日は朝練も部活もないからな」
海斗が答える。
「あれっ、かいちゃん腕どうしたの?また骨折?」
真理ちゃんは海斗をかいちゃんと呼ぶ。
「これは……単なるキョウダイ喧嘩だ」
「ええっ!?柊ちゃんじゃないよね!?」
「悠ちゃんだ」
「ええっ!?何をしでかしたの?かいちゃんってば!」
柊斗は低血圧のせいか失速していた。
だんだん、後ろに下がっていき、あくびをしている。