
キョウダイ
第11章 皮肉な約束
「似てますよね?」
年配っぽいメイドさん。
昔から見た事ある人だ。
ああ、やわらかく笑いながら口を開く。
「だんなさまとごキョウダイですからね。結婚される時にご当主様に反対されて周防の名を許されずに、佳純様の姓を名乗る事になったと聞いてます。葵様とはいとこになるので、やはりどことなく似てますね」
いとこ……。
明とあたしが……。
パパがキョウダイだった?
ズキン、
頭が痛い。
頭を下げてその場を離れるメイドさん。
美しい写真の中で笑ってる、奏ちゃん……。
満天の星空の下で笑ってる奏ちゃんに近付き、手を伸ばす。
『星を見に行こうよ?パパとママには内緒だよ?』
頭の中に流れてくる記憶。
『葵ちゃんは危ないから来ちゃ駄目だよ、けがしたらぼくが怒られるからね?』
『絶対ついて行くもんっ、奏ちゃんが怒られないようにするっ』
『俺がついて行こうか?面白そうだし』
『悠ちゃんにバレちゃった。これ以上人数が増えるのは駄目だよ、内緒なんだから』
家のベッドの中にぬいぐるみを変わりに寝かせて、リュックの中にはお菓子ばかりを詰めて、奏ちゃんはござや懐中電灯をしっかり入れていた。
パパにもらったデジタルカメラを首から下げて。
自転車で悠ちゃんと明が迎えに来た。
途中まで後ろに乗せてもらって、ワクワクしながら自転車を下りて山登りをした。
体の弱い明はハアハアいってたけど、小さな子供達だけで夜に山登りをするのは楽しかった。
『わあ〜』
『プラネタリウムだ』
『ね?言ったとおりでしょ?』
『頑張って来た甲斐があったね?』
ござを広げて皆で寝転ぶ。
そのまま、黙って星を見つめる。
『天の川見えない?』
『うーん……』
あたしと奏ちゃんが天の川を探していると、ぽつりと明が呟く。
『あのね、オレ、死ぬかもしれないんだ』
『えっ!』
『なにそれ?』
『どうしてそう思うの?』
『心臓の病気なんだって。海外で大きな手術をして、成功したら生きられるけど、失敗したら死んじゃうんだ』
『手術って痛いよね?しなきゃいけないの?』
