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キョウダイ

第11章 皮肉な約束





『手術をしなきゃもうすぐ死んじゃうんだって』



『そんなあっ』

『本当なの?』

『成功したら生きられるって、成功する確率は?』



『分かんないけど、手術をしに海外に行くんだ』



『いつ行くの?』



『来週くらい』



『もう会えなくなるの?』



『生きてたら会えるけどね?』



『じゃあ死なないって約束しよう?』



あたしの言葉にぐっと息を飲む明。



奏ちゃんも悠ちゃんも黙ってる。



『そんな約束……分かんないよ?みんなだって本当はいつ死ぬか分かんないんだよ?』



『じゃあ皆で、死なない約束っ、だって生きてたら、絶対会えるんでしょ?』



『そう……だけど……っ』



『じゃあ約束だよ?お星様に約束っ』



『死なない約束?それだけ?』


悠ちゃんがうーんと考えてる。

もうちょっとなんかないかな?


『じゃあ皆で死なないで元気で、一番金持ちになった人のお嫁さんになるっ』


『……』

『……』

『そんなの無理だよ、キョウダイだし、葵ちゃんはお嫁さんにはいらないなあ』


『ひどいっ奏ちゃんっ』





無邪気にそんな約束をした。





皮肉な約束だ。




ああ。




頭が痛いっ。




「葵っ?大丈夫か?」



少しふらついたのか、海斗が肩を支えてくれた。



ズキン、ズキン。



「帰るか?」



そのまま、出口のほうに向かう。



熱に苦しむ明の姿が目に入った。




ズキン。






『葵ちゃん?どうしてここにいるの?』



ジャングルジムのてっぺんで遊んでいた。



『だあれ?このへんの家の子?』



『……!』



『一緒に遊ぶ?』



『……覚えて、ないの?』



『あたし、頭の病気になったからいろいろ忘れてるの、お母さんが言ってた。ごめんね?』



『……明だよ?分からない?』



『ごめんね?』



『……生きて帰って来たのに……』



『……え?』



『……奏もいない……約束守ってないじゃないか?』



『ごめんね?』



『どうしたら思いだすの?頭をうったらいいのかな?』


『えっ?なに……きゃあっっ!』



ドンッ‼


ジャングルジムのてっぺんから突き落とされた。





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