キョウダイ
第12章 悪い子
「腹減ったな……、シャワー浴びるか?」
一緒に、と言う海斗の言葉をお断りして、隣のシャワールームに入る。
「2階に行くわ」
拗ねたような顔をして、シャワールームの前で別れる。
シャワールームに入ると、バスタブにお湯が張ってあった。
海斗がいれてくれたんだ……。
悪かったかな?
そう思いながら、シャワーを浴びる。
鏡の前で、ふと気づく。
首筋と胸元に、赤くなった花のような、痣。
これ……。
キスマーク……っ。
気付いて動揺してしまう。
しかも目立つ場所にっ……。
その時。
バスルームのドアが、勢い良く、開いた。
「柊……ちゃん……」
鍵をかけてなかったんだ……っ。
柊斗だった。
モデルのバイトが終わったからか、いつもより髪型が格好いい。
あたしの姿をじっと見つめ、ぎらりと瞳が輝く。
「前もこんな時間にシャワーを浴びてたよね?」
バスルームのドアをバタンと閉める音が妙に響く。
「いつもはしっかり鍵をかけるのに……」
ゆっくりとあたしに近付く。
「どうして?」
柊斗の指があたしの首筋にある、キスマークをなぞる。
びくん、体が震える。
ゆっくりとそのしるしの大きさをはかるように。
つつっと長い指が肌をなぞる。
「これは、なに?」
柊斗の大きめな瞳が、
すうっと細められる。
「柊ちゃん……、あたし……」
海斗に……。
つつっと指があたしの胸もとのキスマークをもなぞる。
「ひゃっ、柊ちゃん……っ」
あたしの体は敏感になっていた。
だって、まだ、さっきの海斗との余韻が残っている。
体を震わせ、ぎゅっと目を閉じる。
「悪い子……」
耳元で囁かれ、ぎゅっとバスルームのドアに体を押さえつけられる。
ガタガタという音と、ドアの感触。
そのまま、激しくキスされる。
「んんっ、んあっ……」