セツナ桜
第1章 セツナ桜
空港に着くと、急いでエントランスロビーに向かう。
「俊哉(トシヤ)ー」
私は高校二年の冬から付き合っている恋人の名前を呼んで駆け寄った。
「優衣(ユイ)」
俊哉は私の名前を呼ぶと人目も憚らず抱きついてキスをする。
「もう、俊哉ったら」
「じゃあ、行こうか」
「うん」
空港の外に出ると凍えそうな寒さが襲った。東京とは大違いだ。
「そっちバスじゃないよ」
違う方向に行こうとする俊哉に声をかける。
「知ってる。いいから付いて来て」
俊哉の後についていくと、黒い乗用車があった。俊哉は車の鍵を開ける。
「これ、どうしたの?」
「俺、免許取ったんだ。それで、父さんが車買い換えるからって、譲ってくれた」
自慢げに話す俊哉だが、若葉マークがボンネットに貼ってあり、つい笑ってしまう。
「へえ」
「なんで笑うんだよ?」
「なんでもないよ」
後ろの席に大きなトランクを乗せて、私は助手席に乗り込む。俊哉の住む札幌まで車で一時間程だ。私達は、高校を卒業してからの大学生活の話を延々とした。俊哉は、バンドのサークルに入ってギターを始めたようだ。私はバイトと女子会の日々を送っている。
「俊哉(トシヤ)ー」
私は高校二年の冬から付き合っている恋人の名前を呼んで駆け寄った。
「優衣(ユイ)」
俊哉は私の名前を呼ぶと人目も憚らず抱きついてキスをする。
「もう、俊哉ったら」
「じゃあ、行こうか」
「うん」
空港の外に出ると凍えそうな寒さが襲った。東京とは大違いだ。
「そっちバスじゃないよ」
違う方向に行こうとする俊哉に声をかける。
「知ってる。いいから付いて来て」
俊哉の後についていくと、黒い乗用車があった。俊哉は車の鍵を開ける。
「これ、どうしたの?」
「俺、免許取ったんだ。それで、父さんが車買い換えるからって、譲ってくれた」
自慢げに話す俊哉だが、若葉マークがボンネットに貼ってあり、つい笑ってしまう。
「へえ」
「なんで笑うんだよ?」
「なんでもないよ」
後ろの席に大きなトランクを乗せて、私は助手席に乗り込む。俊哉の住む札幌まで車で一時間程だ。私達は、高校を卒業してからの大学生活の話を延々とした。俊哉は、バンドのサークルに入ってギターを始めたようだ。私はバイトと女子会の日々を送っている。