セツナ桜
第1章 セツナ桜
アパートに着き、車を降りるときにきらりと光るものが、助手席の床奥に見えた。それを取る。それは、赤い小さな薔薇のピアスだった。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
「ならいいけど」
家に戻ると疲れたからと嘘をついて寝てしまった。まともに話せるとは思えなかったからだ。
夜ご飯に俊哉の作った野菜炒めを食べた。少し休憩して、お風呂に入った。
「上がったよ」
「おう」
俊哉もすぐに入った。私はお昼のピアスが気になって、気が気でなく、部屋の中をうろうろとした。すると、掛けてある俊哉のコートから、ふと甘い香水の匂いがした。私のつけているものではない。それに、俊哉は昔から、香水なんて使わない。私の疑惑はますます大きくなった。いけないことだと分かっているけれど、私はテーブルの上に置きっぱなしの俊哉の携帯電話に手を伸ばした。手が震えて心臓がばくばくする。メールフォルダを開こうとするとロックがかかっていた。私は思考を巡らせて、必死に開けようと足掻く。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
「ならいいけど」
家に戻ると疲れたからと嘘をついて寝てしまった。まともに話せるとは思えなかったからだ。
夜ご飯に俊哉の作った野菜炒めを食べた。少し休憩して、お風呂に入った。
「上がったよ」
「おう」
俊哉もすぐに入った。私はお昼のピアスが気になって、気が気でなく、部屋の中をうろうろとした。すると、掛けてある俊哉のコートから、ふと甘い香水の匂いがした。私のつけているものではない。それに、俊哉は昔から、香水なんて使わない。私の疑惑はますます大きくなった。いけないことだと分かっているけれど、私はテーブルの上に置きっぱなしの俊哉の携帯電話に手を伸ばした。手が震えて心臓がばくばくする。メールフォルダを開こうとするとロックがかかっていた。私は思考を巡らせて、必死に開けようと足掻く。