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心はまるで水車のように

第5章 二人の優しさ

「……て。起きて!」

 遠くで声が聞こえて目を開ける。目の前に優祐さんの笑顔があった。優祐さんの笑顔に安心して、寝てしまっていたようだ。肩には優祐さんのスーツの上着がかけられていた。温かい。

「あ、ごめんなさい」

「大丈夫だよ。疲れてたんだよね?」

「これ、ありがとうございました」

 優祐さんに上着を返す。店の壁掛け時計は朝の五時を指している。

「いえいえ。じゃあ、そろそろ帰ろうか」

 優祐さんの言葉に店を出て、駅まで行く。電車に乗り、途中の駅で優祐さんは降りて行った。

 地元の駅で降りて、足早に家に帰る。鍵は開いていた。私が荷物を置いていったことを知っているからだろう。玄関の一番奥が私の部屋だ。ダイニングの灯りがついていて、そっと覗く。そこには母がテーブルに突っ伏して眠っていた。

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