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心はまるで水車のように

第5章 二人の優しさ

 何も言わずに、そっと扉を閉める。シャワーを浴びて、着替える。ロンTにデニムのショートパンツにパーカーを羽織った。自分の部屋に入り、ポシェットに携帯や財布などを詰め込む。玄関でブーツを履いて、外に出る。昨日、瞬に会った場所に行く。ちょうどそこへトラックとワゴン車が入ってきた。昨日見た作業着を来た人たちが降りてくる。その中に瞬もいた。

「瞬っ!」

「お、昨日の子やん!」

「なに~? 瞬の彼女?」

「違いますよ。昨日、知り合ったドジっ子娘」

 思わず名前を呼んだ私に瞬と瞬の同僚であろう人が話す。こんなデリカシーのなさそうな人が彼氏なんて冗談じゃない。

「なるほどな。じゃ、先行っとくわ。早くしろよ!」

「すぐ行く。って、お前ニヤニヤしてんじゃねぇよっ。で、なんや?」

 何かを企んだような笑みで瞬の肩をトンと叩いて、去っていく同僚の人。仲がいいんだなぁと思う。

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