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心はまるで水車のように

第5章 二人の優しさ

「昨日、お金借りたので返そうかなと。ありがとう」

 財布から千円札を取り出して返す。

「いえいえ」

「あと、これ、お礼に……」

 部屋から取ってきたブタのストラップを渡す。

「お、なんかお前みたいだな。ありがと、携帯につけとくよ」 

「だから、お前じゃない。美羽だってば!」

「ごめん、ごめん」

 わしゃわしゃと乱暴に私の頭を撫でる瞬。ほんとデリカシーない。

「ばーか!」

「はいはい。俺、戻らなきゃ。よかったら昨日より少し早いくらいに来てや。お昼でも一緒に食べない? ……まあ、コンビニ弁当だけどな」

「分かった。私もコンビニでドリアでも買ってくるね」

 思いもしない誘いにびっくりするが、春休みで特に予定があるわけでもないので、オッケーする。

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