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心はまるで水車のように

第5章 二人の優しさ

「残念だけど、そろそろ時間だわ。あ、俺のメアド。よかったらメールしてよ」

 瞬はそう言って、私にレシートを渡した。裏にはメアドが入っていた。瞬ってあだ名と誕生日とクロスという単語が入っているありきたりなものだ。

「ん、また送っとくー」

「待ってるな。じゃあ、また!」

 そう言うと、瞬は走って建物の中に消えて行く。それを見届けて、またなんばへと足を運ぶ。今度は携帯もあればお金もある。高校一年生から飲食店でバイトをしていてほとんど貯金していた私を今はただ褒めるばかりだ。

 映画を観たり、カラオケに行ったりして夜まで過ごす。携帯の電源は途中で切った。母親からの着信がしつこいからだ。子どもじゃないって言ったのは向こうなのに、結局、私を子ども扱いしている。イライラしていると、前方から見た顔の人が来た。近くに来ると誰か分かった。優祐さんだ。

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