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心はまるで水車のように

第5章 二人の優しさ

「優祐さん!」

「あぁ、昨日の」

「美羽です!」

「また、こんな時間まで歩いて……お母さん、心配するよ」

 私は痛いところをつかれて無言になり、俯く。

「そうですね。今日は帰ります」

「あ、さすがに終電までは無理だけど、二時間くらいなら付き合うよ」

 優祐さんの言葉に自然と頷き、昨日行ったファーストフード店に行く。

 同じメニューを頼み、席につく。優祐さんは、何も言わずに私から話すのを待ってくれている。だけど、結局、その日は何も話すことが出来なかった。優祐さんが、そのことについて問いつめることもない。その優しさが心に染みる。

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