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心はまるで水車のように

第6章 惹かれていく心

「ありがとうございます。少し、気持ちが楽になりました」

「それは、よかった。随分話こんじゃったね」

「あ……すみません! 早くお家帰ってあげなきゃですね」

「まあね。まだ、明日の会議のまとめとかしなきゃいけないしね」

 ぼりぼりと頭を掻く優祐さん。そのしぐさが、年上の男性には似つかわしくない単語だが、可愛らしい。

「大変ですね! じゃなくて、誰か待っているんじゃないですか?」

「いや、僕は一人暮らしだけど。何で?」

「いや、なんとなくですよ。でも彼女とかはいそうですよね。……なんてね」

「彼女はいないよー。美羽ちゃん、面白いね!」

 優しく頭を撫でられて、胸がきゅんとした。あくまで子ども扱いだと頭では分かっているが期待してしまう。嬉しくなってしまう。

「じゃあ、またね」

 優祐さんのおかげで、久しぶりに早めに家に帰った。

「おかえりなさい。今日は、早かったのね」

 お母さんが遠慮がちに話しかけてくるが、私はそれを無視して、部屋に入る。気持ちの整理なんて簡単につくはずもない。お母さんは、それ以上何をするでもない。ただ、リビングへと行く足音だけが聞こえた。

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