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心はまるで水車のように

第2章 瞬との出会い

 行く当てもなく、ふらふらと歩く。

「もう、どうするのよ……」

 店のショーウインドウに映る自分の姿を見て、溜め息を吐いた。伸びたトレーナーにジャージ。ぐしゃぐしゃの髪に涙でぐしゃぐしゃになった顔。

「馬鹿みたい。本当、馬鹿みたい」

「おーほんま阿呆やなぁ」

 呟いた私の後ろから、いきなり応じる声。誰だ、この失礼な奴は。後ろを振り返ると、ペンキまみれの作業着の男性がいた。顔にもペンキがついている。

「はぁっ!? いきなり失礼ねっ!」

「おーおー……威勢ええなぁ! 今まで泣いてた奴とは思われへん」

 にやにや顔の男に無性に腹が立つ。私の気も知らないで、さも分かったような口を利いている。

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