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心はまるで水車のように

第10章 発覚

「帰るのはいいけど、心配やから送っていく」

 瞬はそう言って私を駐車場に連れて行く。

「助手席、乗って」

 駐車場には荷物の乗ったトラックが置いてある。私は助手席に乗って座った。

「家、どこらへん?」

「初めて会った豪邸の近くの……ってマンションで大きなショッピングセンターが目印」

「了解」

 車は走り出す。それ以上は何も言ってこなかった。家につく間際。

「あのさ。私の気持ち分からないくせにって言ったけど、美羽だって俺のこと分からないと思うで。だって俺がこの年で、大学も行かずにこの仕事してる。ほんと言うとさ、高校卒業すらしてないんや。話してないから美羽には俺のほんとのこと。俺の今までなんて分からないと思う。それと同じことやで」

「そうだよね……」

「よし! ついたよ」

「ありがとう」

 私は、トラックを降りて、家に帰った。

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