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心はまるで水車のように

第12章 心はまるで水車のように

「ごめんね」

「いや、ええよ。送ってった時に言ったこと、それが関係してるんだ。ゆっくり歩きながら話すわ。思い出の場所は、もう少し先やしな」

「うん」

「俺、小さい頃から中学二年までは、家族仲良くて幸せやったんや。けど、俺が中学二年の時に母親に乳がんにかかって、気づいたのが遅くて、色々なとこに転移してて、余命一年って宣告されてさ。父親は母親のために仕事増やして頑張ってたんや。でも、俺が高校一年生の入学直後、余命宣告されたから一年半が経っていて、母親、亡くなったんや」

 私は驚いた。瞬が私と同じで片親を亡くしているということに。そして、どこか親近感のようなものも沸いた。私は相槌を打ちながら瞬の話を聞く。

「母親が亡くなってからが地獄やった。父親は、酒に溺れてアルコール依存症になって、仕事も辞めた。俺は、時々殴られて、理不尽に当たられるようになってん。俺は耐えられなくて、逃げ出した。そこから俺も荒れたんだ。万引きやら暴走行為をして、高校も中退した。理由は違えど、まあ知らないけど……今の美羽のようやってん。だからほっておけなかったのかもしれない」

「なんか、ごめんね。私の気持ちなんて分からないって決めつけちゃって……」

 瞬の話を聞いていると罪悪感に苛まれた。自分の無責任な発言に申し訳なさがいっぱいだ。

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