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心はまるで水車のように

第2章 瞬との出会い

「瞬っ!」

「んぁ?」

 瞬は慌てて立ち止まって、振り返る。

「ごめん、家に財布忘れて、鍵ないから取りに行けないんだよね……。友だちん家行く約束してるんだけど。ちょっと電車代貸してくんない?」

 半分ホントで半分ウソ。

「はぁ!? お前、馬鹿じゃないの? それに会ったばかりの俺に借金? まあ、それくらいええけど」

 瞬は千円札を私に渡した。知り合ったばかりの人にお金を渡すなんてとても優しい人なんだなと思う。私なら考えられない。

「ありがと。絶対、返すから!」

「おお、お礼でも期待しとんで! じゃ、ほんまにほなね!」

 瞬が走って建物の中に消えて行ったのを確認して、駅に向かう。瞬には友達の家に行くなんて言ったが、そんな当てはない。みんな、塾やら受験勉強やら真面目な子ばかりだ。とりあえず路線図を見る。なんばまで買う。ふと、小中学生の頃に母親となんばの映画館に行ったことを思い出したからだ。

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