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心はまるで水車のように

第3章 思い出の場所

 電車で揺られて三十分。なんば駅についた。母親とよく行った映画館に着く。なにも変わっていない。映画を見た後はきまって、帰りにゲームセンターで一緒にプリクラを撮った。周りからも羨ましがられる仲のいい親子だった。ちょくちょく小さい喧嘩はあったものの、今日ほどの言い合いは初めてだ。

「携帯ないと不便……」

 呟いてみたものの、家に取りに帰る気にもなれず、ぶらぶらと商店街を歩く。きらきらした洋服やくつ、雑貨屋さんが並ぶ。こんな格好じゃ場違いにも程がある。

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