『さちこ』
第1章 島谷病院
両親は既に他界し、これまで結婚や出産の機会もなかった祥子にとって、今、頼れる身内といえば実弟と、その家族(義妹、甥、姪)のみだった。
1つ年下の弟は、7つも年上の“姉さん女房”をもらっていたので、義妹は祥子よりも年上だった。
しかし、料理にお菓子作り、水泳に登山と多趣味で、毎日を楽しんで元気に動き回る義妹は、病院のベッドで寝たきりの祥子よりもずっと若く見えた。
ガラガラッ…
不意に病室のドアが開き、可愛らしい雰囲気の婦人が顔を覗かせた。
「お義姉さん、調子はいかが?」
「……。」
入ってきたのは、佐々木佐知子(ささきさちこ)61歳。祥子の義妹だった。呼びかけは聞こえているはずだが祥子は答えない。
「お花を持ってきたの。少しでも気分が明るくなるかと思って…」
ピンク色のガーベラをメインに、かすみ草などを合わせた可愛らしい雰囲気の花束。重くて暗い雰囲気だった病室がふわりと明るさを帯びた。
1つ年下の弟は、7つも年上の“姉さん女房”をもらっていたので、義妹は祥子よりも年上だった。
しかし、料理にお菓子作り、水泳に登山と多趣味で、毎日を楽しんで元気に動き回る義妹は、病院のベッドで寝たきりの祥子よりもずっと若く見えた。
ガラガラッ…
不意に病室のドアが開き、可愛らしい雰囲気の婦人が顔を覗かせた。
「お義姉さん、調子はいかが?」
「……。」
入ってきたのは、佐々木佐知子(ささきさちこ)61歳。祥子の義妹だった。呼びかけは聞こえているはずだが祥子は答えない。
「お花を持ってきたの。少しでも気分が明るくなるかと思って…」
ピンク色のガーベラをメインに、かすみ草などを合わせた可愛らしい雰囲気の花束。重くて暗い雰囲気だった病室がふわりと明るさを帯びた。