しなやかな美獣たち
第2章 ♠:What is Love?【純愛ホラー・BL】
俺が尋ねると、彼は首を横に振った。
「僕だって…。出来れば成仏したいよ…。ずっと一人ぼっちなんて…嫌だもの…」
彼が死んだのは3年前。俺がここに引っ越ししてきたのは、9カ月前。前の住居人は彼の存在には、全く気が付かなかったそうだ。
俺だって、つい最近まで気付かなかったのに、何で?
「分からないけど…。僕が毎日、キミに触れたいって想っていたからかな?」
「何でそんな事を…」
「だって…。キミ、僕のタイプなんだもん♪」
うぉい!ちょっと待て!
俺はノーマルだぞ!!
「そんなの、分かってるよ。僕を捨てた恋人も初めはノーマルだったんだ。僕はずっと彼に対しての気持ちを隠していた」
「それなのに何で?」
「いつの間にか一緒にいる内に僕の事を好きになってたんだって。彼、高校からの親友だったんだ」
「そんでアンタ幾つで死んだの?」
「26の時」
「じゃあ、結構長い付き合いだったわけだ…」
「うん。一緒の大学に行って、7年友達として付き合ってた」
「そんなに付き合い長いのに…何だかなぁ…」
俺もノーマルだし、彼の恋人の気持ちは分かる。けど、そんなに長く付き合って来た親友をそんなにあっさり捨てるなんて、何だか彼が気の毒に思えた。
だけど、何であんな事を言ったんだろう?
「取り敢えずさ、アンタが成仏出来るよう、俺も協力するから」